プラモの泉

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【4種を比較・検証】水性ホビーカラーに適したデカール軟化剤を考える

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皆さんこんにちは、ajiroです。

今回は水性ホビーカラーに適したデカール軟化剤について検討しました。

 

 

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はじめに

私がプラモデルを作る際は、基本的に水性ホビーカラーで塗装を行います。

デカールを貼る時は密着力を高めるために、クレオスのMr.マークセッターを使用していますが、塗装面にセッターの跡が残る場合があります。その跡はつや消しのトップコートを吹けば目立たなくなるので大した問題ではありませんが、何となく気がかりでした。

他社のデカール軟化剤が気になったので、タミヤのHPでデカール軟化剤のページを見ていると、あることに気が付きました。

それは「塗装を侵す場合があるので、特にアクリル塗料の上から使用する場合には十分注意してください。」という一文が書かれているものと書かれていないものがあるということです。具体的な商品は以下の通りです。

注意書きのある商品
  • マークフィット(ハードタイプ)
  • マークフィット(スーパーハード)
注意書きが無い商品
  • マークフィット
  • デカールのり
  • デカールのり(軟化剤入り)

軟化剤が含まれていないデカールのりが水性塗料を侵さないのは分かりますが、マークフィットとデカールのり(軟化剤入り)に「塗料を侵す場合がある」という文章がありません。この2点の商品は、水性塗料の上に塗っても跡が残らないのかもしれないと思ったので、早速購入しました。

せっかくなので手持ちのデカール軟化剤と一緒に、塗膜への影響やデカールの密着力を検証してみようと思います。

使用するデカール軟化剤

使用するデカール軟化剤は以下の4つです。

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Mr.マークソフター

用途:プラモデルのスライドマーク軟化剤

成分:水溶性有機溶剤

容量:40ml

定価:200円(税抜き)

大昔に購入した商品です。最近は複雑なデカールが多い飛行機や自動車のプラモデルをあまり作らないので、出番はほとんどありません。軟化力は強いですが、油断するとデカールが破れるので要注意です。

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Mr.マークセッター

用途:プラモデルのスライドマーク軟化、接着剤

成分:水溶性有機溶剤、水溶性樹脂

容量:40ml

定価:250円(税抜き)

最近プラモデルを作る際は、もっぱらこれを使っています。水性塗料の塗膜を若干侵す気がしますが、問題なく使えています。

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マークフィット

用途:スライドマークの軟化剤

成分:水、有機溶剤

容量:40ml

定価:200円(税抜き)

今回初めて使います。Mr.マークソフターより色々マイルドなのでしょうか?

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デカールのり(軟化剤入り)

用途:デカール用のり・軟化剤

成分:有機溶剤、液体のり、水

容量:10ml

定価:360円(税抜き)

今回初めて使います。白濁色のMr.マークセッターと違い透明な液体です。今回使う軟化剤の中で、圧倒的にコスパが悪い点が気になります。

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4点の特徴を表にまとめてみました。Mr.マークソフターとマークフィットは軟化剤のみで、Mr.マークセッターとデカールのり(軟化剤入り)は軟化剤と糊が一緒になった商品です。

商品名 軟化剤
Mr.マークソフター ×
Mr.マークセッター
マークフィット ×
デカールのり

 

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塗装面に軟化剤を塗ってみる

塗装面に軟化剤を塗って、跡が残るのかを検証します。

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はじめに、水性ホビーカラーのブラック(H2)とつや消しブラック(H12)を塗って、7日間乾燥させた2枚のプラ板を用意します。

その上に各軟化剤を塗布して1分後に拭き取ります。この時塗装面は擦らないようにしました。その後、水を含ませたティッシュで軽く拭いて表面を確認します。

つや消しの表面

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左からMr.マークソフター、Mr.マークセッター、マークフィット、デカールのり(軟化剤入り)を塗りました。

つや消しブラックの上だと、どの軟化剤も跡が残ってしまいましたがマークフィットの跡はほとんど目立ちませんでした。

光沢の表面

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光沢ブラックの場合はMr.マークソフター、Mr.マークセッター、デカールのり(軟化剤入り)を塗ると跡が残りましたが、デカールのり(軟化剤入り)の跡はほとんど分りませんでした。いずれの場合もつや消しより跡は目立っていません。

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マークフィットは跡が残りませんでした。

綿棒で擦ってみる

先ほどとは別のプラ板に軟化剤を塗って、1分経過したら綿棒で50回擦って様子を観察します。

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今回も水性ホビーカラーのブラックとつや消しブラックで塗装しています。

結果は以下の通りです。

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つや消しで塗ったプラ板の方が、大ダメージでした。

いずれのプラ板の場合も、Mr.マークソフターが一番ダメージが大きく下地が見えてしまいました。

全体的な傾向として、クレオスの製品よりタミヤの製品の方が水性塗料へのダメージが小さいようです。特にデカールのり(軟化剤入り)はほとんどダメージがありませんでした。

 

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実際にデカールを貼ってみる

実際にデカールを貼る時は、これまでの検証のように軟化剤だけを塗って放置したり、綿棒で表面をこすったりすることはしないので、普段通りにデカールを貼った状態も確認することにします。

水性ホビーカラーのブラックとつや消しブラックを塗ったPS樹脂製のスプーンを用意して、その上に異なる軟化剤を用いてデカールを貼ります。今回は比較のため、軟化剤を使わずに水だけで貼ったデカールも用意しました。

なお、デカールはメガミデバイスのアイデカールと、ハイキューパーツのコーションデカールの2種類を使用しました。

デカールを貼る位置にあらかじめ軟化剤を塗り、その上にデカールを貼ったら綿棒ではみ出た水分を吸い取ります。

その後、湿らせたティッシュペーパーで表面を軽く拭き、5時間ほど乾燥させて表面を観察しました。

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デカールを貼った様子は以下の通りです。軟化剤の跡をピンクの枠で囲みました。

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Mr.マークソフターとMr.マークセッターを使った場合は、軟化剤の跡が残ることがありました。この跡は、濡らしたティッシュで拭いても取れませんでした。ただし画像だとほとんど分からない程度の跡なので、そこまで気にしなくていいと思います。

タミヤのマークフィットとデカールのり(軟化剤入り)を使って貼った場合は、跡は残りませんでした。

デカールをテープで剥がしてみる

各種軟化剤の接着力を確認するため、デカールをマスキングテープで剥がしてみます。

マスキングテープはクレオスの18㎜を使いました。

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ある程度予想はできていましたが、つや消し面よりも光沢面に貼ったデカールの方が強力に密着していました。

全体的にクレオスの製品よりタミヤの製品の方が剥がれやすいことが分かりましたが、水だけで貼るよりはしっかりと密着できていました。

コトブキヤのアイデカールとハイキューパーツのコーションデカールでは、剥がれ方に違いはありませんでした。

 

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まとめ

今回は水性ホビーカラーに適したデカールを検討するため、各種軟化剤の塗膜への影響と密着力を検証しました。

水性ホビーカラーで塗装した面に対するダメージはクレオス製の方が高く、特にMr.マークソフターは影響が大きいことが分かりました。

その反面デカールの密着力もクレオスの方が強かったです。今回はデカールを軟化させる力の検証は行いませんでしたが、軟化させる力と密着力と塗膜へのダメージは比例関係にありそうです。

検証を行うまでは糊が含まれている軟化剤の方が密着力が強いと考えていましたが、糊の有無による密着力の差は確認できませんでした。今回のように滑らかな面にデカールを貼る場合は、糊成分が含まれなくても大丈夫そうです。

今回の検証ではクレオス製の軟化剤は比較的ダメーが大きく、水性塗料の表面を侵すことがありましたが、以下の点に注意すれば水性塗料の上にも問題なく使用できると思います。

  • デカールを貼る面を光沢にする
  • 軟化剤は少なめに塗る
  • デカールを貼った後軟化剤は速やかに拭き取る
  • 最後につや消しのトップコートを吹く
  • 跡が目立ちにくい高明度色で塗装する

実際にメガミデバイスの弓兵やランサーは、水性ホビーカラーで塗装後にMr.マークセッターを使ってデカールを貼りました。デカール貼付後に若干の跡が残りましたが、最後にトップコートを吹いたらセッターの跡は全く分からなくなりました。

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制作動画も投稿してあるので、よろしければご覧ください。

www.youtube.com

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今回の結果を踏まえて、今後私は単純な面にはマークフィットを、複雑な面にはMr.マークセッターを使ってデカールを貼ろうと思います。

それでは皆さま、良い水性塗装ライフを!